製品の回転期間を計画します。
ロット別生産の場合では,製品の回転期間は,とくに1回に何カ月間,販売するだけのものを生産する(商業の場合は仕入れる)かによってきまります。
1回に数力月分のものを生産するようにすると,製造原価(商業の場合は仕入原価)は割安になりますが,製品の在庫が多くなって,在庫への投下資金の金利,在庫品の保険料など,在庫の費用が割高になります。
1回に何力月分のものを生産するのが最も有利かということを考えて,製品の回転期間を計画します。
その場合,1回に大量に生産するようにすると,ある月の材料代支払いなどが多くなるから,収支の状況も考慮することが必要です。
仕掛品の回転期間の意味と算式仕掛品の回転期間というのは,材料を生産工程に投人してから何力月で製品に仕上がっていくかということ,つまり製品の製造に要する期間(製造期間),生産に要する期間(生産期間)ということです。
仕掛品の回転期間も,仕掛品が在留する期間,仕掛品が在る期間などでもありますから,単に仕掛品の期間といってもよいです。
仕掛品については,表3-3の「製造原価明細書」で示されるように,〔期首仕掛品450十当期総製造費用9,050一期末仕掛品480=当期製品製造原価9,020(万円)〕と計算されます。
この式中の「総製造費用」は,材料費6,100万円,労務費1,950万円,および製造経費(電カガス水道費など)1,000万円の合計であって,製品製造に要する費用です。
製品製造原価は,前述のように,「原価での製品製造」高,生産高です。
「今日」では,機械装置などによって,連続的に製品が製造され,常時,仕掛品が在留するから,上掲のように,製造原価が計算されるわけです。
財務諸表では,仕掛品の回転期間は,多くの製造業では,つぎの算式で計算されます。
この算式の意味については,図3-4,図3-5を参照)。
A社では,仕掛品は,前期末(期首)450万円,今期末480万円であり(貸借対照表で表示),総製造費用は9,050万円ですから(製造原価明細書で表示),仕掛品の回転期間はつぎのように0.6ヵ月になります。
A社が製造工業の会社であるとすれば,製品の販売には1.1ヵ月かかり,製品の製造期間は0.6ヵ月(18日)となります。
仕掛品(期首450十期末480)÷2仕掛CIP回転期間−総製造費用9,050÷12損益計算書があるだけで,製造原価明細書がなくて,製品製造原価しかわからない場合は,つぎのような算式で,仕掛品の回転期間を計算してよいです。
月次計算書がある場合には,仕掛品についても,「年齢調べ」の方法で,毎月,仕掛品の回転期間を計算することができます。
A社では,前述のように,3月末の仕掛品480万円ですが,総製造費用は,3月828万円,2月755万円などとすると,仕掛品の期間はつぎのように計算されます。
3月末には,3月の0.6ヵ月間の総製造費用が,仕掛品として残留するわけです。
仕掛品残留の期間と仕掛品仕上がりの期間は表裏一体ですから,3月末から0.6ヵ月前の仕掛品在高は,0.6ヵ月間に製品に仕上がってなくなるわけです。
この「年齢調べ」の方法によって,毎月,簡単に製造期間が算出されますので,目標,計画の製造期間が達成されたかどうか,実績の検討に,きわめて有効なものです。
仕掛品の回転期間の内容仕掛品の場合も,たとえば製品Xの製造期間は1.5ヵ月,製造費用(仕掛品回転期間の算式の分母の製造費用)に占める割合は50%,製品Yの製造期間は1.0ヵ月,製造費用に占める割合は30%,製品Zの製造期間は0.7ヵ月,製造費用に占める割合は20%の場合では,全体(平均)の仕掛品の回転期間はつぎのように1.19ヵ月になるわけです。
4材料の回転期間材料の回転期間の意味と算式材料の回転期間というのは,何カ月間使用するだけの材料をもっているか,手持の材料は何カ月間倉庫などにストックになる(滞留する)かということ,材料の手持期間,材料が在庫になる期間(在庫の期間,滞留する期間)ということです。
材料の回転期間も,材料在留の期間,材料が在る期間でもあるから,単に材料の期間といってもよいです。
財務諸表では,材料の回転期間は,つぎの算式で計算します。
この算式の分母の材料仕入高は,製造原価報告書で表示されるものです。
A社では,材料は,前期末(期首)400万円,今期末500万円であり(貸借対照表で表示),材料仕入高は6,200万円ですから(製造原価明細書で表示),材料の回転期間はつぎのように0.9ヵ月となります。
0.9ヵ月間は倉庫などに27日間ストックになり,27日間滞留するわけです。
製造原価明細書で,材料費6,100万円だけが表示されていて材料仕入高は表示されていないときなどには,材料の回転期間は,つぎの算式で計算してもよいです。
A社では,前述のように,3月末の材料在高500万円ですが,材料仕入高は,3月550万円,2月535万円などとすると,材料の期間は,つぎのように0.9ヵ月と計算されます。
図3-5(図中の「仕掛品」を材料,「製造費用」を材料仕入高,「製造原価」を材料費とする)で示されるように,材料残留の期間と材料費消の期間は表裏一体ですから,3月末から0.9ヵ月前の材料の在高は3月末までの間に全部,費消されてなくなるとみられるわけです。
「年齢調べ」の方法によって,毎月,簡単に材料の期間が計算できますので,目標,計画の材料の期回が達成されたかどうか,実績の検討に,きわめて有効なものです。
材料の回転期間の内容材料の回転期間は,1回にまとめて相当の使用分を購入するか,当日使用する分だけを購入(当日買い)するかなどによって異なります。
たとえば1回に20日間使用する材料を購入するようにするときは,手持日数の長いもの20日(0.7ヵ月),短いもの0日,平均では10日(0.3ヵ月)になります。
当日買いをするときは,材料の手持期間はゼロになります。
材料の場合も,材料の回転期間は,たとえばつぎのようになるわけです。
買掛債務は,仕入債務ともいい,未払いの仕入代金ということであって,支払手形と買掛金(ただし,材料または商品仕入れにともなう支払手形と買掛金)です。
A社では,今期末では買掛債務は,支払手形(材料仕入関係の支払手形とする)700万円,買掛金(仕入関係の買掛金とする)600万円,計1,300万円です。
今期末では未払いの仕入代金が1,300万円あるわけです。
買掛債務の回転期間というのは,材料(商業の場合は商品)の仕入代金を何力月で支払うかということ,つまり仕入代金の支払期間ということです。
買掛債務の回転期間も,買掛債務在留の期間,買掛債務在高の期間ですから,単に買掛債務の期間といってよいです。
財務諸表では,買掛債務の回転期間はつぎの算式で計算します。
この算式の分母の仕入高は材料または商品の仕入高ですが,これは製造原価明細書で表示され,商品仕入高は損益計算書で表示されます。
A社では,買掛債務は,前期末(期首)では支払手形(材料関係の支払手形とする)650万円,買掛金500万円,計1,150万円,今期末では,前述のように1,300万円です(貸借対照表で表示)。
材料仕入高は6,200万円ですから(製造原価明細書で表示),買掛債務の回転期間はつぎのように2.4ヵ月になります。
材料の仕入代金は2.4ヵ月で支払われ,仕入代金の支払期間は2.4ヵ月となります。
月次計算書がある場合には,「仕入高,買掛債務,仕入代金支払」も,図3-1および図3-2(図中の「売掛債権」を買掛債務,「売上高」を仕入高,「売上収入」を仕入代金支払とする)に示されるから,売掛債権の場合と同じように,「年齢計算」という方法で,簡単に毎月,買掛債務回転期間(仕入代金支払期間)が計算できます。
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